
花巴
個性的な酸味が後を引く酒だ。とくに、酵母を培養するために造る酒母の古典的製法“水酛”を使ったシリーズに着目したい。水酛とは室町時代の僧侶が発明した、生米を浸漬し自然に生まれてくる乳酸をもとに酵母を培養したもので、これを使うと酸味が強い酒になりやすいのが特徴。その味わいはまるで苺ヨーグルトで、寝かせるとチーズを思わせる動物的な風味も出てくるなど、現代の日本酒の概念を覆す酒質である。 他にも、同じく天然の乳酸を生かして造る山廃酛を使った酒や、木桶で寝かせた酒など、蔵付き酵母のみで醸した野生味あふれるワイルドな酒質が「花巴」の持ち味だろう。手がけるのは、蔵元杜氏の橋本晃明氏。多湿地帯で発酵が進みやすい地元の環境を生かし、発酵によって旺盛に出てくる酸味を抑えるのではなく、思い切り“酸を解放”した酒造りをモットーに、どこまでも風土に寄り添った酒質を目指す。 酒に合わせるならば、地元の発酵食として親しまれている柿の葉寿司のような発酵食品のほか、醤油を使った甘辛いすき焼きなどと相性がいい。洋食だけではなくアジア料理にも合うのが魅力で、発酵系のチーズを使った料理や、魚を発酵させて作るナンプラー(魚醤)を使うタイ料理、ジビエのような野趣あふれる肉料理もおすすめだ。






