
義侠
創業は江戸中期の寛政年間。「義侠」は、明治時代に米の価格が高騰した際に、小売商に対して採算度外視なのにも関わらず、酒の値段を上げなかったことに由来している説あり。そんな雄々しいイメージが浮かぶ銘柄だが、「義侠」はその名の通り、がっしりとした体躯を彷彿とさせる、力強い純米系の日本酒である。 限られた酒蔵しか入手できない兵庫県・東条特A地区産の山田錦を贅沢にもほとんどのラインナップに使用し、酒米の個性を余すことなく生かす酒質を追求。吟醸香のような香りは一切求めずに、アルコール度数も酒質も軽快な日本酒が主流になってきている昨今においても、時代に迎合することなく今日まで濃醇な日本酒を貫いている。 この蔵の真骨頂は、蔵内で低温熟成したヴィンテージだろう。複数の5年以上寝かせた熟成酒をブレンドした純米吟醸酒「妙」を筆頭に、3年以上熟成の純米吟醸酒・中汲みのブレンド酒「慶」など、いずれも丸みを帯びた米の複雑な旨みが特徴。旨みを引き締めるほどよい酸味も心地よく、ちびちびと少しずつ味わっていると、さまざまな味わいが味蕾に広がり豊かな気持ちになる。日本酒の奥深い世界を飲むたびに教えてくれる一本だ。
