
醸し人九平次
醸造元の萬乗醸造は正保四(1647)年の創業。「酒望子」「萬乗」「鯱誉」などを主要銘柄とする造り酒屋だったが、十五代目蔵元の久野九平治氏が1996年に立ち上げた「醸し人九平次」が国内外で高い評価を獲得し、全国の酒蔵に先駆けてフランスにも進出。蔵元自らがアポなしで現地のレストランを回って営業を重ね、三ツ星のグランメゾンでのオンリストを実現させたエピソードは有名だ。 原料米への徹底したこだわりから、2010年からは兵庫県央の黒田庄の自社田で山田錦の栽培をスタート。3地区に分かれた圃場で日本酒のテロワールを探求し、ブルゴーニュワインの“村名=ヴィラージュ”のように、それぞれの水田がある地名を冠した商品をリリースして話題に。16年からはフランス・ブルゴーニュにワイン蔵を所有し、「ドメーヌ・クヘイジ」名でワイン醸造も手掛けている。 「醸し人九平次」ブランド全体に共通する個性は、和の陰影より洋の開放性を感じさせるエレガンス。マンゴーや洋梨、金柑などの濃密な果実感と緻密に練られた米の旨味が滑らかに溶け合い、ジューシーでキラキラ輝く酸のインパクトも。白ワインを思わせるミネラリーなタッチがあり、吟醸系の日本酒とは合わせにくいビネガーの酸や、生クリームやバターなどの乳製品、フルーツともきれいに調和する。


