
酔鯨
酒飲み界で最強の酒豪として人気の酒場詩人・吉田類を生んだいかにも土佐らしい銘柄だ。それも飲んべえにちなんだ由来も面白い。初代と縁があった、無類の酒好き土佐藩主の山内容堂が「鯨がいる海の酔っ払い殿様」という意味の「鯨海酔候」を名乗っていたことを端緒に、「酔鯨」と名づけたといわれている。創業の前身は明治5年(1872)に生まれた石野酒造。 その後、酔鯨酒造に改組し、昭和47年(1972)に株式会社化すると、特定名称酒に力を入れ始める。純米吟醸「吟麗」を確立すると全国へと販路を拡大。平成30年(2018)には吟醸酒に特化した土佐蔵を建設する。もともとあった長浜蔵と2蔵体制で製造を開始して製造量をふやし続け、いまや6000石まで出荷石数を伸ばしている。 同時に販路を地酒専門店だけではなく、スーパーやデパート、コンビニなどでも展開。ずいぶんと華々しい蔵の成長ぶりだが、それと相反するかのような質実な酒質が特筆すべき点だ。高い品質をめざすがあくまでも奇をてらわずに、つまみ特に魚介類に寄り添う穏やかな食中酒を貫く。手頃な値段もいい。例えば定番の純米酒は一升瓶で3000円以下など懐に優しいのも魅力的。ふだんの晩酌酒に最適な日本酒だろう。
