
宝剣
山海に囲まれた呉市仁方町で「寳劔」を醸すのは、5代目杜氏の土井鉄也氏。鋭い眼差しとピシリとした立ち振る舞いが精悍な造り手である。酒の味わいはそんな蔵元杜氏を体現したような酒質。ファーストタッチは穏やかだが、疾走感があるシャープなキレ味が特徴で、スッと口の中で消えていく細やかな余韻も見事だ。 この酒質は、広島の日本酒を大きく発展させた三浦仙三郎が明治時代に生み出した軟水醸造法にならい構築。甘口になりやすい地元の軟水を使い、土井氏が試行錯誤の上に完成させた独自の辛口酒である。年ごとに酒質のトレンドが変化する日本酒の世界でも、「寶釼」は一貫して辛口酒を追求し、『SAKE COMPETITION』など数々のコンテストで上位を獲得するなどその成果は実を結んでいる。 今も着実に酒質を向上させて年々キレ味に磨きをかけ、地元のみならず全国に熱烈なファンを広げている。そんな「寳劍」に合わせるならば、魚介類とりわけ白身魚の刺身や昆布締め、しゃぶしゃぶなどがおすすめ。繊細な白身魚の旨みと端正な酒が互いを引き立てる、デリケートな組み合わせを楽しめる。


